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『名作をヨーロッパの文脈で読み解く』
〜Vitra製 イームズ・シェルチェア。安全性と再生素材が描く、飾らない日常の彫刻〜
ミッドセンチュリーの象徴として、世界中で愛され続けるチャールズ&レイ・イームズのサイドシェルチェア。名作ゆえに多くの選択肢が存在する現代において、あえて「Vitra(ヴィトラ)社製」のユーズドを選ぶというアプローチは、住空間における知的な編集作業と言える。
■ 二つの正規メーカー、VitraとHerman Miller
イームズのシェルチェアと言えば米国Herman Miller社が広く知られているが、スイスに拠点を置くVitra社もまた、イームズ・オフィスから認定された正当な正規メーカーである。
1950年代にヨーロッパでの製造・販売権を獲得して以来、Vitra社は欧州市場に向けてイームズ作品を作り続けてきた。
北米やアジア(日本)を中心に展開するHerman Millerに対し、Vitra製はヨーロッパの厳格な環境基準とクラフトマンシップが色濃く反映されている点に、独自の価値が存在する。
■ ヨーロッパ基準の安全性と、木の温もり
本個体の背面に残された黒いステッカーに注目したい。
これはドイツの製品安全法に基づいた「GSマーク(Geprüfte Sicherheit=認定された安全性)」であり、試験機関「LGA」による極めて厳しい強度・安全基準をクリアした証拠である。
シェル本体には、環境に配慮した再生プラスチックを採用。光沢を抑えたマットな質感は、淡いイエローの色彩と相まって日本の空間にもノイズなく溶け込む。
座面を支える脚部(DSW)には、緻密な木目を持つメープル材を使用。工業的な無機質さを天然木の温もりが中和し、空間に端正なリズムをもたらしている。
■ 日常の道具として育てるアートピース
背面に刻まれた「Made in EEC(欧州経済共同体)」の印や、各部に残る微細な使用の痕跡。
アンティークと呼ぶにはまだまだ若いが、現代のアートピースとしての価値を確かに纏い始めた「ビンテージ」である。
過度な神格化を避け、確かな安全性に裏打ちされた「生活を支える良質な道具」として空間に迎え入れたい。
【窓辺のデスクで、朝の光を整える】
休日の朝、窓際のデスクにこのチェアを引き寄せる。
肌触りの良いリネンのシャツに身を包み、淹れたてのコーヒーを傍らに、読みかけのペーパーバックを開く。
計算されたシェルの曲線が身体を柔らかく受け止め、脚がフローリングに美しい影を落とす。
名作を飾るのではなく、日常の道具として使い倒し、その時間を愉しむ。
その潔い付き合い方が、あなたの暮らしに確かな充足感と、普遍的な美しさをもたらしてくれるはずだ。
■2008年後半に製造され、2009年初頭に出荷
■生産国
EEC(欧州経済共同体)
■デザイナー
Charles & Ray Eames
■メーカー
Vitra/Herman Miller
■サイズ 幅457x奥行533x高さ806x座面高440(mm)
■素材 FRP(再生プラスチック)/メープル
■仕様 実際に使用されていた商品の為、小傷・小ダコン等はご理解ください。
■メンテナンス:済み
■完成品