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『 床に咲く、陶器のアートピース』
〜「連動する」機能美と、異素材のコンストラクト〜
家具というよりも、額装された絵画がそのまま抜け出してきたかのような佇まい。
デンマークから届いたのは、温かみのある陶磁器タイルを天板に敷き詰めた、美しいネストテーブル。
アノニマス(無名)なデザインでありながら、そこには「美しさ」と「道具としての解決策」が見事なバランスで同居しています。
〜 機能をデザインする、驚きの「サスペンション構造」〜
このテーブルの真価は、その美しい見た目以上に、隠された構造の妙にあります。
通常、3つセットのネストテーブルを移動させる際は、一つひとつ運ばなければなりません。しかし、この一台は違います。
天板の裏側に設けられた「ガードレール(木製レール)」が、下段のテーブルを引掛けるように捉える設計になっており、一番上のテーブルを持ち上げれば、2枚目、3枚目のテーブルもそのまま宙に浮き、セットで追従してくる。
「まとめて持ち運ぶ」という行為を、シンプルな構造で解決した当時の設計思想には、思わず膝を打ちたくなるほどの知性が宿っています。
〜民藝的なテクスチャと、チークの額縁〜
天板を彩るのは、釉薬の濃淡が美しい陶磁器タイル。
土の匂いを感じさせる有機的な花模様は、北欧の寒く長い冬に彩りを添えるための工夫だったのでしょうか。その陶器を縁取るのは、希少な「チーク材」。
硬質なタイルを、木目の美しいチークで額装することで、冷たさを感じさせないモダンなアートピースへと昇華させています。熱や水に強いタイル天板は、熱いコーヒーポットを直接置けるという、実用的なメリットも見逃せません。
〜役割を分担する、マテリアルの対比〜
素材使いにも、北欧家具らしい合理性が見て取れます。
視線が集まる天板周りには、色艶の良い「チーク材」を。そして、荷重を支える脚部には、強度に優れた「ビーチ材」を採用しています。濃い飴色のチークと、明るくプレーンなビーチ。
このツートーンのコントラストが、重厚になりがちなタイル家具に軽やかなリズムを与え、空間に心地よい抜け感をもたらします。
〜暮らしに溶け込む〜
ゲストが来たときは3つを広げて、賑やかなコーヒーテーブルとして。
一人の時間はコンパクトにまとめて、ソファサイドのアートとして。
「美」と「用」が、高度な次元で融合したこのテーブル。
その隠された機能を使うたび、当時のデザイナーの遊び心と対話するような、豊かな時間が流れるはずです。
【メンテナンス:済み】
古い塗膜を除去後にオイル塗装にて仕上げました。
■生産国
デンマーク
■サイズ
・大テーブル:幅540x奥行390x高さ525(mm)
・中テーブル:幅443x奥行385x高さ498(mm)
・小テーブル:幅363x奥行383x高さ473(mm)
■素材 天板:チーク・陶磁器タイル 脚周り:ビーチ
■程度 実際に使用されていた商品の為、擦り傷・打痕等ございます。
■メンテナンス済み(オイル塗装)
■完成品