閉じる
『ウェグナーが到達したミニマリズム』
〜Hans J. Wegnerが描く、GE19の浮遊する静寂〜
北欧家具の巨匠、Hans J. Wegner(ハンス・J・ウェグナー) の膨大なポートフォリオの中に、これほどまでに装飾を削ぎ落とした作品があったでしょうか。名門 GETAMA(ゲタマ) 社より発表されたデイベッド、「GE19」。
当時から生産台数が極めて少なく、現地デンマークでも入手困難なアイテムの一つとされるモデル。それは家具というよりも、空間に引かれた一本の美しい水平線のようです。
〜 チークとメタルの構造美〜
このGE19を象徴するのが、クッションの両端を支える「金属のフレーム」です。
温かみのあるチーク無垢材の脚部に対し、あえて無機質なメタルパーツを組み合わせる異素材のコントラスト。この華奢なメタルがマットレスを抱え込む構造により、重厚な座面がまるで宙に浮いているかのような、不思議な浮遊感を生み出しています。
〜デンマークの空気感を纏う、再生〜
今回の修復には、特別なこだわりを込めました。
内部には、ゲタマ社オリジナルのスプリング(バネ)を残しつつ、クッション材には新しいウレタンを採用。さらに張り地には、デンマーク現地で調達した、上質なウール混のダークグレー色のファブリックをセレクトしました。当時の空気感をそのまま封じ込めたような、深く落ち着いた色合いが、チークの飴色をモダンに引き立てます。
〜包み込まれる「ソフト」な安らぎ〜
しっかりとした反発力を持つスプリングの上に、ふっくらとしたウレタンを重ねることで、身体を優しく受け止める「ソフト」な感触を実現しました。
幅700mmというスリムなプロポーションは、ベンチのように壁際に置いても圧迫感がなく、日本の住空間に美しい余白をもたらします。
〜暮らしに寄り添う提案〜
リビングの窓辺に置いても、景色を遮らない低く美しいプロポーション。
壁際に寄せて、お手持ちのクッションをいくつか並べてみて、好みの深さを持つリラックスソファへ。
昼下がりには、背もたれのない自由さを活かして、どこからでも腰掛けられるベンチとして。
コーヒー片手にアートブックを広げれば、リビングとダイニングを緩やかに繋ぐ、コミュニケーションの場が生まれます。
そして、喧騒から離れたい夕暮れ時。そのまま足を伸ばして、身体ごとクッションに預ける。
ゲタマ社のスプリングと柔らかなウレタンが、疲れた背中を優しく受け止め、短時間でも深く良質な休息をもたらしてくれます。時には大切なゲストを迎えるベッドとして、時には自分だけを癒やすサンクチュアリとして。
「座る」と「寝る」をシームレスに行き来するこの家具が、あなたの暮らしに、これまでになかった自由と贅沢な時間の使い方を教えてくれるはず。
【メンテナンス:済】
・木部はサンディング、構造チェックを行い、オイル塗装にて仕上げました。
・クッションはオリジナルのバネはそのままに、ウレタンを新調し、デンマークのウール混載のファブリックに張替えをしております。
■生産国
デンマーク
■デザイナー
Hans J Wegner
■メーカー
GETAMA
■サイズ 幅700x奥行1920x高さ410(mm)
・フレーム:幅670x奥行1900x高さ295(mm)
・マットレス:幅700x奥行1920x高さ115(mm)
■素材 チーク・スチール
■程度 デンマーク国内にて実際に使用されていた商品の為、擦り傷・打痕等ございます。
■完成品
■メンテナンス:済み(オイル塗装)/張替え済み/+バネはオリジナル