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『初期IKEAの伝説的モダニズム』
〜Arne Wahl Iversenが設計した、チークとオークの「
SPEC
TREM」シリーズ〜
「IKEA」という名の響きに、あなたはどのようなイメージを抱くだろうか。
もし、フラットパックの量産家具だけを思い浮かべるなら、この家具は良い意味でその認識を裏切ることになる。
1950〜60年代、IKEAがまだ職人気質の残る家具工房と共に、最高品質の北欧デザインを世に送り出していた黄金期。
デンマークの著名デザイナー Arne Wahl Iversen(アルネ・ウォール・アイヴァーセン) を起用し、作られたエントランス・チェスト。モデル名「
SPEC
TREM」。
それは、北欧ビンテージ市場においてコレクターが探し求める、知られざる名作の一つである。
■ 重力を切り離す、メタルの支柱
この家具を建築的なプロダクトへと押し上げているのは、チェスト本体と脚フレームを繋ぐ「接合部」のディテールだ。
最後の写真から2枚目に注目してほしい。
木と木を直接組むのではなく、あえて「金属のピン」を介在させることで、重厚なチークの箱がフレームから数ミリ浮き上がっているように見える。
この計算された「浮遊感」が、家具全体に軽やかなリズムと、モダニズム特有の緊張感をもたらしている。
■マテリアルが奏でる、静かなる協奏
素材の使い分けにも、当時のIKEAの美意識が宿る。
収納部となるボディには、経年により深く色づいた「チーク材」を。
そして、全体を支える堅牢なフレームには、明るく力強い「オーク材」を採用している。
異なる二つの樹種を組み合わせることで、単調な茶色にならず、空間に奥行きと立体的なコントラストを描き出す。
■ 「飾る」と「仕舞う」の美しい融合
本来はエントランス(玄関)のために設計されたこの家具。
3段のチェストには鍵や手袋を収め、隣のテーブルには観葉植物を飾ったり、荷物を置く。
異なる機能を非対称(アシンメトリー)なフォルムに凝縮したデザインは、現代の住空間においても、小型のテレビボードやプラントスタンドとして、その機能性を遺憾なく発揮する。
有機的に削り出されたハンドルの意匠も、指先が喜ぶ美しいディテールだ。
【空間に溶け込む】
ベンチ部分にお気に入りのアートブックを積み上げ、チェストの上には季節の花を生ける。
あるいは、リビングの主役として、壁際に静かに佇ませる。
「実はこれ、古いIKEAなんだ」
そんな会話から始まる、驚きと発見のある暮らし。
デザインの歴史を所有する喜びが、この一台には詰まっている。
【メンテナンス:済】
古い塗装を除去後にサンディングを行い、オイル塗装にて仕上げました。
■生産国
スウェーデン
■デザイナー
Arne Wahl Iversen
■メーカー
IKEA / OLD
■サイズ 幅960 x 奥行330 x高さ545(mm)
■サイズ詳細
〇テーブル:幅550x奥行262x高さ405(mm)
〇引出し(共通):幅280x奥行280x高さ56(mm)
■素材 チーク&オーク
■程度 実際に使用されていた商品の為、擦り傷・打痕等は、ご理解のほどよろしくお願いいたします。
■完成品
■メンテナンス:済(オイル塗装)