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『ボーエ・モーエンセン J39 シェーカーチェア(ビーチ)』
〜日常を静かに支える、国民の椅子。半世紀を超えて愛される、簡素な誠実さ〜
■背景と意匠:ボーエ・モーエンセンが描いた、民主主義の造形
「デンマーク近代家具の父」と称されるコーレ・クリントに師事し、その跡を継いでFDBモブラー(デンマーク消費者生活協同組合連合会)の家具部門責任者に就任したボーエ・モーエンセン。彼が1947年に発表したこの「J39」は、装飾を排し、誰もが手に届く高品質な家具を目指したモーエンセンの哲学を最も純粋に体現した一脚です。アメリカのシェーカー家具からインスピレーションを得た無駄のないラインは、発表から75年以上を経た今なお、北欧デザインの到達点として世界中で高く評価され続けています。
■歴史と評価:時代を超えて「スタンダード」であり続ける理由
J39は、そのあまりの普及ぶりと信頼の高さから、デンマークでは「ピープルズ・チェア(国民の椅子)」と呼ばれています。公共施設や教会、デンマーク市庁舎など、あらゆる場所で採用されてきたこの椅子は、単なる流行の産物ではなく、暮らしを支えるインフラのような存在となりました。素材の特性を活かした合理的な構造と、どんなテーブルにも馴染む普遍的なシルエット。一つの椅子がこれほど長く、そして変わらずに作られ続けている事実は、このデザインが導き出した答えがいかに正しかったかを証明しています。
■素材と造り:時を蓄えたビーチ材と、手編みのペーパーコード
フレームには、緻密な木肌と堅牢さを併せ持つビーチ(ブナ)材を使用しています。時間を経て、明るかった木肌は温かみのある柔らかな飴色へと美化し、脚部には「MADE IN DENMARK」のステッカーが静かにその出自を物語っています。座面は、職人の手で一脚ずつ編み上げられたペーパーコード。推定1960〜70年代以降も実用されてきた本個体には、木部や座面に経年によるシミや使用感が見受けられます(写真参照)。「完璧ではないが、美しい」。
この痕跡は、かつて北欧の家庭で誰かの毎日を支えてきた誠実な記憶であり、ビンテージならではの風合いとしてお楽しみいただけます。
■この道具がある風景:当時のデンマークが求めた、豊かさのスタンダード
戦後間もない1940年代、当時のデンマークの人々にとって、この椅子は単なる贅沢品ではなく「良質な暮らしの権利」そのものだったと推定されます。限られた資源の中で、最大限の心地よさと耐久性を叶える。そんな彼らの願いが込められています。
週末の朝、ダイニングに差し込む柔らかな光の中で、この椅子に深く腰掛け、ゆっくりと時間を過ごす。そんな「ヒュッゲ(Hygge)」なひとときに、これほど相応しい椅子は他にありません。当店からお届けするこの一脚が、あなたの住まいの新しい景色となり、これから先も長く日々の営みに寄り添い続けることを願っています。
【メンテナンス前】
木部:オイル塗装にて仕上げ予定です。
■生産国
デンマーク
■デザイナー
Borge Mogensen
■メーカー
FDB Møbler
■デザイン年:1947年
■サイズ 幅485x 奥行455 x高さ760x座面高415 (mm)
■素材 beech (ビーチ)ペーパーコード
■程度 実際に使用されていた商品の為、擦り傷・打痕・ほつれ等多数ございます。
座面のペーパーコードには使用感はありますが、ペーパーコードの張りはしっかりしており、通常使用ができる状態です。
■完成品
■メンテナンス:前(オイル塗装)