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『Hans J. Wegner/ハンス・J・ウェグナー「GE290Aオーク」ハイバックイージーチェア』
〜1950-60年代の原風景を座る。巨匠ウェグナーの初期構想を色濃く残す、ボルト固定の「前期型」。
■背景と意匠:ウェグナーの純粋な思考を辿る、ボルト固定の前期型
ハンス・J・ウェグナーがGETAMA(ゲタマ)社のために1953年にデザインしたGE290シリーズ。その中でも、背もたれが高く設計された「GE290A」は、休息の質を極限まで高めた一脚として知られています。本個体の最大の特徴は、推定1950年代〜60年代半ばに製造された「前期型」であること。ヘッドレストがボルト(ネジ)によって背もたれに直接固定されているこの仕様は、ウェグナーが当初描いた構想そのもの。後年の量産化に伴う仕様変更やカールハンセンからの復刻版では見ることのできない、建築的で力強いディテール。巨匠の筆致が最も純粋な形で残る、歴史的資料としての価値も備えた一台と言えよう。
■内部構造の真実:ビンテージにしか宿らない、バネコイルスプリングの呼吸
現代の椅子作りにおいて主流となったウレタンフォームのみの構造とは異なり、この時代のクッション内部には、ビンテージでしか手に入れることができない「バネコイルスプリング」が内蔵されています。金属製のバネが身体の荷重をしなやかに受け止め、押し返す。その独特の「コシ」のある座り心地は、一度知ると他の椅子には戻れないほどの安心感を与えてくれます。
フレームは良質なオーク材を用い、丁寧にオイル塗装を施しました。さらに、張地には高い品質で知られるoltas社の「FILKシリーズ(ウール70%・ポリエステル30%)」から、落ち着きのあるグレーをセレクト。オーク材の温かな木肌と、現代的なテクスチャーのファブリックが、半世紀の時を超えて静かに共鳴します。
※FILKシリーズは、近年サスティナビリティを求める声が非常に多く、リサイクルウールを主原料。
■機能と生活の解像度:思考を凪の状態へ導く、一日の終わりの特等席
ハイバックチェアの真価は、頭部までを完全に預けられる「解放感」にあります。一日の仕事を終え、部屋の明かりを少し落としてこの椅子に身を沈める。適度な傾斜を持つ座面と、コイルスプリングが生む安定したサポートにより、首や肩の緊張が静かに解けていくのを感じるはずです。
幅75.5cmのゆったりとしたサイズ感は、サイドテーブルを傍らに置き、読書や音楽鑑賞に没頭するための「専用の居場所」として最適です。ただそこにあるだけで、リビングの風景に凪のような落ち着きをもたらし、持ち主の所作までをも整えてくれる。それこそが、ウェグナーが道具に込めた誠実な機能美です。
■この道具がある風景:完璧ではないが、美しい。真実が宿る建築物
背面の美しさに定評があるGE290A。壁際だけでなく、あえて部屋の中央に置くことで、オーク材の力強いフレームラインが空間をダイナミックに仕切るオブジェとなります。完璧に整えられた新品ではありません。ボルトの質感や、フレームに刻まれた微細な経年変化は、これまで半世紀にわたって誰かの休息を支えてきた誠実な時間の記録です。
当店からお届けするこの一台は、単なる家具としての役目を超え、あなたの暮らしに知的な奥行きをもたらし、これから先の数十年を共に歩む不朽の伴走者となることを願っています。
≪メンテナンス:済み≫
古い塗装を除去後に構造チェック・サンディングを行い、オイル塗装にて仕上げました。
クッションは、オリジナルのバネはそのまま使い、ウレタン新調し、張替えを行っております。
■生産国
デンマーク
■デザイナー
Hans.J,Wegner
■メーカー
GETAMA(ゲタマ)
■サイズ 幅760 x 奥行930 x高さ935x座面高320(mm)
■素材 オーク
■仕様 実際に使用されていた商品の為、小傷・小ダコン等はご理解ください。
・右肘先端にインク染みあります。
※クッション部分はオリジナルのバネ入り仕様
■メンテナンス:済み(オイル塗装)
■完成品